純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
最後の理解
「おい、着いたぞ?」
いつの間にか、彼の車で眠っていた私。
体には、彼の上着が掛けられていた。
「んー。もう少し」
「もう少しじゃねぇよ。風邪ひくし」
引きずられるようにして、車を降りる。
アパートのエントランスまで、そのまま抱えられるようにしてたどり着くと、郵便受けからはみ出すように大きな封筒が入れられているのに気がついた。
「それ、取ってください」
「自分でやれよ、全く」
桐生さんからそれを受け取ると、封がされていなくて、中を覗いた。
「何、これ?」
それは、アメリカ西海岸の旅行のパンフレット。
「お前、行くのか?」
「まさか」
誰かが間違えたんだろう。
この時は、そんな風に思っていた。