純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
タクシーの中で、簡単にメイクを施して、髪がボサボサのままだったことに気がついた。
あー、やっちゃった。
桐生さんのせいだ。あんなに慌てさせるから。
しかも、要件だけ伝えて、ブチッと切りやがった。
仕方なく、化粧ポーチの中に忍ばせてあった櫛で、簡単に髪を梳かす。
後は、メイクさんのを借りちゃおう。
「安永、こっち」
タクシーを降りると、待ち構えていた桐生さんが、私を大声で呼ぶ。
「はい。一体何事ですか? ちょっとメイクの時間もらえません?」
このままお客様の前に出るのは、さすがに嫌だ。