純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
ピーンと張り詰めた空気の中、粛々と式は進められて行く。
「指輪の交換を」
スタッフの一人が、リングピローに乗せられた指輪を持ってくる。
大きいものと小さいもの。
おそろいのそれが、ピッタリ寄り添っている。
桐生さんがそれを取って、手袋を外した私の左手に手をかける。
嫌だ……私、震えてる。
桐生さんに手を取られたとき、それに気がついてしまった。
また、バカにされそうだ……と思ったけれど、真剣な顔で私を見つめる彼は、ゆっくり薬指にそれを差し込んだ。
未だ、一度たりとも指輪をはめたことのない指にはめられた指輪。
小さなダイヤが散りばめられているそれが、一層緊張を煽る。