純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
「苦しいです」
「狭いから我慢しろ」
苦しい。苦しかったけど、うれしかった。
私の事を真剣に心配してくれることが。
「痛ッ」
ソファーが狭すぎて、そのまま二人とも床に落ちてしまう。
「重い。どけ」
桐生さんの上に乗っかってしまった私。だけど、動きたくない。
「嫌です。このままで、もう少しいてもいいですか?」
「安永?」
少し頭を起こした彼は、諦めたようにまた寝転がる。
桐生さんの事が好きなのかどうなのかなんて、よく分からない。だけど、この人の鼓動は私を安心させる。
あの時もそうだった。
歩の浮気を知った時も。