純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
彼の存在
ホテルのその会場に着いたのは、まだ発表会が行われる随分前だった。
「こっちに来い」
「はい」
桐生さんに連れて行かれたのは、デザイナーのところだった。
「初めまして。ローズパレスの安永です」
「聞いているわよ、桐生さんから。今日は、優秀なプランナーさんにいろんな情報をもらえるって聞いて、楽しみにしてたの」
「えっ?」
「現場の声ってのね。
私たちは好きなデザインを仕上げればいいけど、これだと着替えが……とか、ボリュームがありすぎる……とか色々あるでしょ?」
「えっ、まぁ」
確かにそう。
どんな素敵な衣装も、着替えるのにすごい時間がかかったりすると、断念することもある。