純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
「桐生さん……」
気がつくと、リビングの彼の下へと足を進めていた。
「どうした、眠れないのか?」
思った通り、彼もまだ眠っていなかった。
テーブルには、まだ開けていないビールの缶がもうすっかり温くなっていて。
私が何かを言い出すのを静かに待っていてくれる彼に、言葉を吐きだした。
「お願いです。抱きしめてください」
こんなことを言うのは、正直言って恥ずかしい。
だけど今は、どうしても彼にそうしてほしい。怖かったって泣いてしまいたい。苦しかったって叫びたい。
そんなことすべて受け止めてくれる彼の胸で、思いっきり胸の内を明かしたい。
私がそう言い終わった瞬間、彼が私を引き寄せて、今までで一番強く抱き寄せてくれた。