純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
あの時は必死だった。
だから、何とかしなくちゃという気持ちが先だって、本当に怖いと思ったのは、桐生さんが来てくれてからだ。
「ずっとこうしててやるから、少し寝ろ。体を休めないと」
やっと泣き止んだとき、彼は自分が使っていた毛布を私の背中からぐるっと巻くようにかけてくれて、私を抱き寄せた。
「ほら、目を閉じて。安心しろ。誰にも触れさせない」
「――はい」
「ごめんな、安永……」
彼のそんな言葉が聞こえた気がしたけれど、疲れ切っていたせいか、そこで意識がぷっつり途切れた。