純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
最高のプロデュース
「うーん」
駅を出た瞬間緑の匂いが鼻をくすぐる。
思わず深呼吸して、その新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込んでみる。
都会の駅とはまるで違う。
小さな名も知らぬコンビニがあって、あとはお土産屋さんだろうか。
そして、タクシーが2台だけ止まっている駅。
避暑地で有名なここも今は閑散期の様で、ちらほら観光客らしき人がいるだけだ。
私はその駅から真直ぐ伸びている道をゆっくり歩き始めた。
タクシーに乗ろうかとも思ったのだけれど、なんとなく歩きたくなった。
ここがどんなところか知りたい。どんな素敵なところかを。
「気持ちいい」
ずっと都会の真ん中で暮らしていた私。
仕事をするようになってから、まとまった休みもなく旅行にも行けなくて、こんなところは久しぶりだった。