純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
先に行ってよう。
駅からすぐのその洋風居酒屋は、ちょっとお洒落な雰囲気で、私も歩もお気に入り。
二人だと、かなりの確率でここに来るのは、互いの職場から近いからだ。
いつものようにカウンターに行くと、着ていたジャケットを隣の席にかけて、座った。
「ビールを」
ここだと、お洒落にカクテルをなんていうのがあっているのかもしれないけれど、疲れた時にはキンキンに冷えたビールが一番だ。
オヤジくさかろうがなんだろうが、ここはビールをグビッといこう。
すぐに差し出された泡いっぱいのビールをグイッと喉に送り込むと、「美味い」なんて言いそうになって慌てて口を抑えた。
隣に座っているカップルに視線を送ると、もう女性の方が酔っているのか、彼氏にもたれ掛っている。
きっと、今が一番幸せな時期なんだろうな、なんて、冷静に観察してしまった。