純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
結局、披露宴はせず、ごく親しい友人のみを招待した小さな式を挙げたんだ。
「彼、あの後何度も両親に話をしてくれて……時間はかかりましたけど、やっと嫁として認めてもらうことができました。そして、その後この子を」
「本当に、よかった……」
「おめでとうございます」
ポロッと涙をこぼした私に、ハンカチを差し出しながらそう言ったのは桐生さんだった。
桐生さんはあの時……披露宴の中止で、様々なものをキャンセルされたお客様のために走り回った。
いつもは予算にシビアな彼が、なに一つ文句を言うことなく。
急遽キャンセルした花代や、料理の材料費も、本来ならキャンセル料を頂く時期だったのに、なんとかすると言って、本当になんとかしてくれた。
あの時の桐生さんは、普段の性悪男の顔がどこにも見られなかった。
お客様のために奔走する彼は、まさにウェディングプランナーの鏡だった。