純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~

桐生さんは自分が担当になって、私をアシスタントに指名した。
彼がアシスタントをつけるときは、形式通りの対応では難しそうな時や、新婦に女性のプランナーが寄り添った方が良いと判断した時だけだ。


二人は駆け落ちしていた。


新郎の方には家がなかった。いや、家族が――。

施設で育った私生児。
生まれ落ちた瞬間に、両親から捨てられてしまった子供だったのだ。


中学を卒業した後、働いていた工場で出会って二人は恋に落ちた。
けれど、それを知った新婦の両親は二人の交際を猛反対した。


彼の人柄の良さを何度説明しても受け入れられず……追い返される日々。
そのうち彼女の方は仕事を辞めさせられ、家から出してもらえなくなった。


それでも、諦めきれず、彼は毎日彼女の家に通ったらしい。

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