純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
純悪女
オフィスに戻ると、予約の入っている客の来る時間になっていた。
コーヒーの嫌いな新婦のために、紅茶を用意して、今までの話し合いのすべてが記されたファイルを取りだして、もう一度目を通す。
結婚式まであと3か月。
前回は、ハネムーンの手配で終わった。今日は披露宴の座席決めについてと……。
「いらっしゃいませ」
予約時間の少し前に入り口で待機していた私は、見覚えのある顔を見つけて、頭を下げる。
「えっと……今日はお一人ですか?」
いつもは二人で腕を組んで現れるカップル。
男の方はなんというか……決してパッとした見た目ではない。
常に自信なさそうに下を向いていて、故に猫背。
髪は、いつ洗ったんだろうというようなべたついた感じで、清潔感が全くない。
洋服のセンスも、何とも言えない。
発言するときも、もごもごして……。
はっきり言えば、全くタイプではない男。
ま、他人の男なんて、どうでもいいけど。