Sexual Secret
「おい、コーヒー」
ぶっきらぼうにそう頼まれたのとほぼ同時に、用意してあったコーヒーを得意げに差し出す。
少し驚いた顔で私をみる。
そして私はこう言う。
「冷めないうちにどうぞ」
つまらなさそうな顔をして彼はコーヒーを口に入れる。
勝った、なんて気分がいいんだろう。
「………おい!」
そのあまりにも大きな声に、私は妄想から我に返る。
「ぼーっとするなんて度胸あるな。早く、コーヒー」
残念ながら先程までの妄想内での完璧ぶりは本当の私には存在せず。
もちろんコーヒーなんて、用意していない。