ラブミー・アゲイン
先生の奥さんである理恵さんは昔、先生と先生のお兄さんを重ねていた。
昔の私は、それが悔しくて。
今の私も、理恵さんがちゃんと先生を見てくれるか、不安で仕方なくって。
だから、そんな風に揺るぎない瞳で、そう話してくれると、嬉しくてたまらない。
隣が私ではないのは、少し複雑。
でも、よかった。
理恵さんが先生を見てくれて。
本当に、よかった。
先生が、幸せそうだから。
「美優のおかげだよ。」
―…久しぶりに、先生の手のひらが私の髪を撫でた。
なめらかに、滑るように。
やっぱり、指輪の冷たさを感じさせながら。