花乙女
桜舞う4月。
花園学園でも入学式が終わり、校内では、新入生を迎えて、新しい1年が始まろうとしていた。

─生徒会室

1人の少女が、双眼鏡で、生徒会室から校庭を見渡している。

彼女の名前は“如月 花梨-キサラギカリン-”。
生徒会副会長である。

幼い顔と体型が、高校3年生と言う事実を打ち消してしまっている。

更に、淡い栗色の巻き毛が、童顔を包み込み、同じ色の瞳に光を与えている。

「うーん、目欲しい娘はいないなぁ」

ある一点を見つめた時、花梨の唸りは止まった。

…と同時に、双眼鏡が宙に浮いた。

「何してるのかな?花梨?」

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