ボクノトナリデ、
李衣智さんに手を引かれてたどり着いたのは、この辺を熟知しているあたしが知らない喫茶店だった。
ー穴場なんだよ。家っぽいし看板も立ってないから、わかりにくいんだ。ー
店の前で不思議そうな顔をしていたあたしに、そう李衣智さんが言った。
中はアンティークものの家具でいっぱいだった。店っぽくない雰囲気だったけど、静かで、時間を忘れそうな空間。
ーすごい素敵な店ですね。ー
そう言うと李衣智さんは「うん」と嬉しそうに笑った。