×戦国ギャグ物語×
×占い師
拙者は櫛を買ったものの、幸姫は特に買ってくれとせがむ事なく店を出た。
珍しい事もあるものだ、あの幸姫が買ってくれと申さぬとは。
あの場で買ってくれと申して下されば、その場で「もう買ったでござる」と渡せたと申すのに。
すっかり渡す時機を逃してしまった。
「次はどこに行こうかな♪」
「勝手に離れないで下されよ」
「…おや、そこのお二人…」
「「…?」」
町中で、突然聞こえてきた声。
いや、声は至るところから聞こえるのだが…そのしわがれた老婆の声は、確かに拙者達に向けられた声であった。
現に、目の前にいるのでござるから。
「なぁに、おばあさん」
「いやね、お二人の顔に…ね…」
「…?何だ、はっきり申さぬか」
老婆は無粋な笑い声を含ませて、拙者達に指を向けた。
「死相、が出ているもんでねぇ…」
「…!!無礼者、主…老人とは言え容赦はせぬぞ」
「ひっひっひっ…ぐぇ、ゴホッ!!ゴホッ!!ゲホォッ!!」
「…だ、大丈夫か?」
「むせてしもうたわい…」
調子の狂うおかしな老婆だ。
拙者は取りだしかけたクナイをしまった。
「気を付けなされ…あたしゃ、町一番の占い師なんでね…」
「会うなり無礼な事をぬかす占い師は初めでござるよ」
「ひっひっひっ…」
気味の悪い老婆は、しわくちゃの顔を歪ませて笑った。
先程から大人しい幸姫が気になり、ちらりと目をやると、なんとニコニコと笑っておる。
何だ、あまりにも老婆が怪しすぎて信じておらぬのか。
まぁ、下手に信じ込み怯えるより、その方が良いな。
「ねぇ、おばあさん」
「なんじゃね…」
幸姫はニコニコと笑顔で申した。
「おばあさんにも、死相出てるよ♪」
「…!!」
「…っく!」
やられた、幸姫の方が一枚上手のようだ。
老婆の嫌らしい笑みが驚きに変わり、拙者は肩を震わせ笑いを押し殺した。
「死相、死相…みんな人間なんだから、死相はみんな持ってるよ♪」
「そうでござるな」
拙者達は放心する老婆を残し、屋敷に帰った。
珍しい事もあるものだ、あの幸姫が買ってくれと申さぬとは。
あの場で買ってくれと申して下されば、その場で「もう買ったでござる」と渡せたと申すのに。
すっかり渡す時機を逃してしまった。
「次はどこに行こうかな♪」
「勝手に離れないで下されよ」
「…おや、そこのお二人…」
「「…?」」
町中で、突然聞こえてきた声。
いや、声は至るところから聞こえるのだが…そのしわがれた老婆の声は、確かに拙者達に向けられた声であった。
現に、目の前にいるのでござるから。
「なぁに、おばあさん」
「いやね、お二人の顔に…ね…」
「…?何だ、はっきり申さぬか」
老婆は無粋な笑い声を含ませて、拙者達に指を向けた。
「死相、が出ているもんでねぇ…」
「…!!無礼者、主…老人とは言え容赦はせぬぞ」
「ひっひっひっ…ぐぇ、ゴホッ!!ゴホッ!!ゲホォッ!!」
「…だ、大丈夫か?」
「むせてしもうたわい…」
調子の狂うおかしな老婆だ。
拙者は取りだしかけたクナイをしまった。
「気を付けなされ…あたしゃ、町一番の占い師なんでね…」
「会うなり無礼な事をぬかす占い師は初めでござるよ」
「ひっひっひっ…」
気味の悪い老婆は、しわくちゃの顔を歪ませて笑った。
先程から大人しい幸姫が気になり、ちらりと目をやると、なんとニコニコと笑っておる。
何だ、あまりにも老婆が怪しすぎて信じておらぬのか。
まぁ、下手に信じ込み怯えるより、その方が良いな。
「ねぇ、おばあさん」
「なんじゃね…」
幸姫はニコニコと笑顔で申した。
「おばあさんにも、死相出てるよ♪」
「…!!」
「…っく!」
やられた、幸姫の方が一枚上手のようだ。
老婆の嫌らしい笑みが驚きに変わり、拙者は肩を震わせ笑いを押し殺した。
「死相、死相…みんな人間なんだから、死相はみんな持ってるよ♪」
「そうでござるな」
拙者達は放心する老婆を残し、屋敷に帰った。