×戦国ギャグ物語×
第13幕×真実編
×訪問
あの海で起きた事故から、幾日か経った。
拙者は、いつものように執務を進める。
「…重蔵か、入れ」
「はっ、失礼致します」
慣れた気配に声を掛けると、見知った部下が部屋に入った。
筆を置いて一先ず執務を中断すると、膝をついて頭を垂れる一人の忍。
竹柴重蔵(たけしば じゅうぞう)、拙者の忍隊の小頭である。
「組頭、報告が御座います」
「何だ、申せ」
「雷雨の雨之丸が、近くの城下町で目撃されました」
「…!兄上が…?」
「はい、宿にて薬を売っている模様です」
「そうか…あの兄は放浪癖があるでござるからなぁ…おそらく長くは留まらぬでござろう」
ふらふらと覚束無い性格が、彼を放浪者へと変えたのか…。
拙者はふと、あの海での出来事を思い出した。
今、拙者がこうして息をしていられるのも、全てあの時拙者を助けた兄上のおかげ…。
そう思うと、なんだか逢いとうなった。
仕事柄、どうしても逢う事は避けられぬのでござるが、こう非番の日に逢うのは中々なかったでござるな。
「…重蔵」
「はっ」
「兄上のいる宿へ案内するでござる」
「はっ、案内つかまつる」
拙者は重蔵と共に、城下町へ向かった。
中々評判の良い宿に通され、拙者はキョロキョロと辺りを視察。
重蔵と特に会話する事もなく、その部屋へ着いた。
物音はしない、しかし…嗅ぎ慣れない臭いがする。
「失礼致しまする」
眺めの良い二階の部屋に、その男はいた。
煙管をくわえ、窓辺に寄り掛かって座る兄上が、拙者を見て紫煙を吐き出した。
「久しいな、霧助」
拙者は、いつものように執務を進める。
「…重蔵か、入れ」
「はっ、失礼致します」
慣れた気配に声を掛けると、見知った部下が部屋に入った。
筆を置いて一先ず執務を中断すると、膝をついて頭を垂れる一人の忍。
竹柴重蔵(たけしば じゅうぞう)、拙者の忍隊の小頭である。
「組頭、報告が御座います」
「何だ、申せ」
「雷雨の雨之丸が、近くの城下町で目撃されました」
「…!兄上が…?」
「はい、宿にて薬を売っている模様です」
「そうか…あの兄は放浪癖があるでござるからなぁ…おそらく長くは留まらぬでござろう」
ふらふらと覚束無い性格が、彼を放浪者へと変えたのか…。
拙者はふと、あの海での出来事を思い出した。
今、拙者がこうして息をしていられるのも、全てあの時拙者を助けた兄上のおかげ…。
そう思うと、なんだか逢いとうなった。
仕事柄、どうしても逢う事は避けられぬのでござるが、こう非番の日に逢うのは中々なかったでござるな。
「…重蔵」
「はっ」
「兄上のいる宿へ案内するでござる」
「はっ、案内つかまつる」
拙者は重蔵と共に、城下町へ向かった。
中々評判の良い宿に通され、拙者はキョロキョロと辺りを視察。
重蔵と特に会話する事もなく、その部屋へ着いた。
物音はしない、しかし…嗅ぎ慣れない臭いがする。
「失礼致しまする」
眺めの良い二階の部屋に、その男はいた。
煙管をくわえ、窓辺に寄り掛かって座る兄上が、拙者を見て紫煙を吐き出した。
「久しいな、霧助」