お嬢様のためなら
序章

まだ朝と呼ぶには、早い時間。

暁蓮は漆黒の燕尾服を着ながら広い廊下をキッチンに向かい歩いていた。

「よし!やるか。」

そう言い蓮は、朝食の準備を始めた。

もちろん自分のではない

ここの主のだ。

まずは、モーニングティーのためのお湯を沸かす。

その間彼は自分の朝食(といってもミルクとトースト一枚)を食べながら主の朝食を何にするか考えていた。

「おはようございます。蓮さん今日は一段とお早いんですね。」

一人のメイドが話しかけてきた。

「あっ!おはようございます。マリカさん。」

俺はいつものように挨拶をした。

マリカさんは俺の3コ上で小さい頃からよくしてくれている優しい人だ。

「マリカさんお願いがあるのですがよろしいでしょうか?」

「いいけど何?」

「お嬢様の朝食を作るにはまだ早いので、中庭の手入れをしてきます。なので、6時になりましたら呼んでいただけないでしょうか?」

「あんたってホント真面目よねぇ。いいわ、分かった。いってらっしゃい」

「ありがとうございます。では、いってまいります。」

そう言い残して俺は中庭に急いでいく。

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