お嬢様のためなら

コンッ   コン……ガチャ

「おはようございます。お嬢様。おめざめの時間ですよ。」

そう言って俺はカーテンを開ける。

「……おはようございます。」

少ししてから寝ぼけたような声を聞きながら俺は紅茶を淹れる。

「って…えぇー!!あんたいつからそこに居んのよ!?」

いきなり大声で問われたがいつものことなので取り乱すことなく俺は答えた。

「つい先程ですが。」

「てか、あんたノックもなしに入ってきたわけ?」

「いえ、そのような無礼私は致しませんよ。ちゃんとノックして入りましたよ。」

「そうだっけ…?」

「凛々花お嬢様が眠っていらしゃってお気付きにならなかっただけではないでしょうか?」

そう言いながら俺はお嬢様に紅茶を渡した。

「……いい香り。これは、アールグレイ?」

「さすがですね。ご察しのとおり今日のモーニングティーは、アールグレイです」

「まぁーね。てか、主人の返事がないのに入ってきちゃダメでしょ?」

「それは一理あるかもしれませんが、今日は本家での社交界に参加なさるのでしょう?遅刻はまずいのでは?」

「社交界…?あぁ!!そーだった。ヤバい……。」

「お嬢様まだ間に合いますのでそう焦らなくても…。」

蓮は、目の前でジタバタしている主人を見て笑いながら言った。

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