私を愛してくれますか
知らない男というのは語弊がある。
正確には、私が忘れていただけだった。
母がその男のを『くしなだ』と呼んだ瞬間
私の記憶から消えかけていた男の名前がヒットした。
まさかね…
私は、その人をまた見た。
しかし、1年前の人の顔なんて覚えきれない私はその人を凝視したまま固まっていた。
すると
「今日からあなたのお父さんよ」
母が突然話しかけてきた。
「久しぶり。覚えてるかな?…覚えてないよね…アハハ。じゃ、改めて自己紹介するね釧灘海斗です。今日から君の父親になります。よろしくね。」
男はそう言った。
「私たち結婚することにしたの!おなかには赤ちゃんがいるのよ!」
母が嬉しそうに言った。
私はその言葉に愕然とした。
「それでね友海…結婚するにあたってあなたに話があるんだけど聞いて…って友海どこ行くの」
私は家を飛び出した。