『わたし』は『あなた』になりたい
「ええ、そうです」

あっさりと肯定したことに、マカの眼がつり上がる。

「言っておきますが、コレは契約だったのです。彼女はわたしになりたくて、わたしは彼女になりたかった。お互い、合意の上での取り引きだったんです」

「ほざけ。今の状況を、彼女が納得していると思っているのか?」

「しているんじゃないですか? だって彼女自身の望みだったんですもの」

彼女のふてぶてしい態度に、マカは更に何か言おうとした。

しかし何度か口を開閉した後、深く息を吐いた。

「…まっ、今となっては全て遅いことか。しかし…」

改めて赤い両目で彼女を睨み付ける。

「貴様ら、同類を増やす為に動きそうだな。今のうちに狩っておくか?」

そう言ったマカの腕に、黒き模様が浮かぶ。

「―止めた方が良いと思いますよ? まだ人の眼がありますし、ミナ先輩も待っていますよ?」
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