『わたし』は『あなた』になりたい
約束の日、私服姿のマカとミナは約束通り彼女の家へ訪れていた。

「何と言うか…古い洋館って感じだね」

「そうだよねぇ。あたしも最初来た時はビックリしたよ」

そう言いながらも、ミナは出されたビスケットをボリボリと頬張っていた。

彼女の家はマカが言った通り、古い洋館だった。

内装も洋風で、普段和風で過ごしているマカはちょっと落ち着かない。

リビングに通された二人だったが、壁際にある棚には数多くのアンティークドールが飾られている。

「…まるで人形邸だな」

マカはミナに聞こえないように、低く小さく呟いた。

「お待たせしました」

彼女は一体のアンティークドールを持って、リビングに戻ってきた。

人形の制作部屋から持ってきたアンティークドールは、マロンブラウンの緩やかなパーマに金の眼が特徴的だった。

白いドレスに身を包み、無表情の人形は真っ直ぐにマカとミナに向かう。

テーブルの上に置かれた人形に、マカは一瞬、背筋に寒気が走った。

「…?」

しかしその原因が分からない。
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