『わたし』は『あなた』になりたい
眼を細めながら人形を見るも、特に何かを感じるわけじゃない。

「わぁ、キレイなお人形。腕、上げたんじゃない?」

「ありがとうございます、ミナ先輩」

ミナは素直に感動して、人形を見ている。

「マカ先輩はどう思われます?」

「う…ん、スゴイと思うよ。高校生のレベルを超えていると思うわ」

マカは作り笑いを浮かべ、彼女を見る。

「ありがとうございます! マカ先輩にそう言ってもらえると、本当に嬉しいです」

彼女は本当に嬉しそうに微笑んだ。

「今度のコンクールで、将来のことを決めようと思っているんです。結果が良ければ、人形師になる為に留学するつもりなんです」

「スッゴイなぁ! どこに留学するの?」

「はい、イギリスに行くつもりなんです」

ミナと彼女の会話を黙って聞いていたマカは、ふと引っかかった。
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