『わたし』は『あなた』になりたい
「…ねぇ、もしかしてだけど、二年のリリスってコと知り合い?」

「ええ、人形作る時にアドバイスを頂いたりしています。マカ先輩、リリスをご存じなんですか?」

「まあ…ね。そっか。知り合いなんだ」

マカは紅茶を飲みながら、彼女を観察した。

特にどこかおかしい雰囲気はない。

同属達のような、闇の匂いもしない。

だけどどことなく、引っかかるのだ。

「あっ、ねぇ。あのお人形、マカに見せてあげたら?」

人形の話題で盛り上がっていたが、ミナがふとマカの方を見た。

「このコ、以前とってもキレイな人形を貰ったんだって。マカも見せてもらったら良いよ」

「それもアンティークドールなの?」

「えっええ」

だが彼女の口調が歯切れ悪くなる。

何となく、気まずい空気になる。
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