天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅩ
「……」

俯き加減のまま、それ以上は何も言わない天音。

自分は人形である。

こんな事、ただの人間でしかない龍太郎に告げるのは勇気が要った事だろう。

しかし、彼女は龍太郎と親しくなりたかった。

多くの友人に囲まれ、仲のいい姉と共に笑い合い、寂しさなんかとは無縁の生活を送っている龍太郎。

あんな風に温もりに包まれてみたかった。

天音にも沢山の『きょうだい』はいる。

が、この家はあまりにも暗く、冷たく、寂しすぎるから…。

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