天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅩ
そう言った途端。

『凄いね拓斗君!』

小夜は彼を賞賛した。

何が凄いのだろう。

拓斗にはわからない。

攻撃しても防御され、相手の攻撃は回避も防御もできなかった。

いいとこ無しだ。

それのどこが凄いのか。

『凄いよ、普通修行始めて二ヶ月とかで、龍太郎君の突きや蹴りに怯えずにいる事なんてできないよ?』

小夜は心底驚いているようだった。

学園ではフルボッコだ負け負けキャラだと言われる龍太郎だが、実は実家のプロ格闘家の父親すらあしらうほどの実力の持ち主だ。

そんな男の攻撃である。

空手を始めて二ヶ月程度の初心者ならば、怖くて攻撃から目を逸らしたり、思わず目を瞑ったりしてしまう。

それを拓斗は『見て』『反応しようとした』。

それだけでも既に驚くべき事なのだ。

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