絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
夕貴は最もな突っ込みをする。
「いや、夕ちゃんから見て、どんな人なのかなーって」
「それで今日来たのかよ」
夕貴はズバリ言い当てると、ようやくグラスを置いてくれた。
「ノンアルコールな」
「えー!?」
「お前、すぐ酔うだろ」
この経営者は本日、全く仕事をする気がないようだ。カウンターの中にいても何をするわけでもなく、ただ、突っ立って話をしている。
「……、いつから付き合ってんの?」
「知り合ったのは、一年くらい前。そういう関係になったのは、一か月くらい前? で、今一応マンション貸してもらってる」
「え、貸してもらってる、とは?」
「新東京マンション、あそこで、一緒に住んでる。とは言い難いけど……」
「家あそこだろ? 聞いたことある。けどまあ、毎日家帰るようなナリじゃないよな」
「ナリ、とは?」
茶色の前髪の隙間から見える、子犬のような可愛らしい瞳をじっと見つめる。
「……それだけ忙しいってことだよ。簡単に言えば」
「……」
これで、巽の生活は一応あれで合っているということになる。
「何あんだ、浮気調査か。帰って来ないのを心配してさ」
「べっ、つにそうじゃないけど」
次々言い当てる夕貴だが、多分きっと、素直に顔に書いてあるのだろう。
「まあ……お前に向いてはないわなー……。公務員肌のお前には」
「公務員肌って?」
「我慢できても夜勤のある医者までじゃね?」
「我慢って何よ!」
もちろん榊のことが頭を過ったので、声を荒げた。
「前からじゃん。彼氏が仕事の日、一緒に病院までついてって、駐車場で12時間待ってるの」
夕貴は偉そうに両手を広げてカウンターの上について、見下した
「あっ、あれはあの時は、まだ学生だったからよ!」
「それほど変わってるとは思えないけど?」
今更人の口からきいても、さすがにうっとおしく思えて、赤面してしまう。
「そういうのが通じない相手を好きになるんだよなあ……」
「ものすごく失礼なこと言うね」
「あそ?」
「いや、夕ちゃんから見て、どんな人なのかなーって」
「それで今日来たのかよ」
夕貴はズバリ言い当てると、ようやくグラスを置いてくれた。
「ノンアルコールな」
「えー!?」
「お前、すぐ酔うだろ」
この経営者は本日、全く仕事をする気がないようだ。カウンターの中にいても何をするわけでもなく、ただ、突っ立って話をしている。
「……、いつから付き合ってんの?」
「知り合ったのは、一年くらい前。そういう関係になったのは、一か月くらい前? で、今一応マンション貸してもらってる」
「え、貸してもらってる、とは?」
「新東京マンション、あそこで、一緒に住んでる。とは言い難いけど……」
「家あそこだろ? 聞いたことある。けどまあ、毎日家帰るようなナリじゃないよな」
「ナリ、とは?」
茶色の前髪の隙間から見える、子犬のような可愛らしい瞳をじっと見つめる。
「……それだけ忙しいってことだよ。簡単に言えば」
「……」
これで、巽の生活は一応あれで合っているということになる。
「何あんだ、浮気調査か。帰って来ないのを心配してさ」
「べっ、つにそうじゃないけど」
次々言い当てる夕貴だが、多分きっと、素直に顔に書いてあるのだろう。
「まあ……お前に向いてはないわなー……。公務員肌のお前には」
「公務員肌って?」
「我慢できても夜勤のある医者までじゃね?」
「我慢って何よ!」
もちろん榊のことが頭を過ったので、声を荒げた。
「前からじゃん。彼氏が仕事の日、一緒に病院までついてって、駐車場で12時間待ってるの」
夕貴は偉そうに両手を広げてカウンターの上について、見下した
「あっ、あれはあの時は、まだ学生だったからよ!」
「それほど変わってるとは思えないけど?」
今更人の口からきいても、さすがにうっとおしく思えて、赤面してしまう。
「そういうのが通じない相手を好きになるんだよなあ……」
「ものすごく失礼なこと言うね」
「あそ?」