絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
園内の一番奥にあるジェットコースターは、予想通りの人だかりで、既に30分待ちと表示されていた。
「やっぱ券買いますね」
販売機に行こうとすると、すぐに風間は、胸ポケットから財布を取り出した。
「私が払います」
「経費で落ちるんですか?」
「そうです」
風間は、言い切ると、勝手に一万円を販売機に滑り込ませた。
「えっとじゃあ、7枚つづりを2セットでいいですよね」
「私は……」
「乗りましょうよ、どうせ2枚とも経費で落ちるんだから」
彼はその日一日よく付いてきてくれたと思う。待ち時間もちゃんと守って、結局一緒に乗り物に乗ってくれたし。ジェットコースターでメガネを外すように指示されても、ちゃんと守って裸眼を披露してくれた。
「どうしてメガネなんですか?」
の、質問に対し、
「目が悪いからです」
という、これ以上ない単純明快な返答にも、香月は一人で笑った。
食事はハンバーガーを買って、その辺のベンチで食べた。しかも、そのハンバーガーとジュースは彼が並んで買ってきてくれたのである。
「うわあ……並んでますねえ……、けどここでいっか、多分並ぶ時間はここが一番少ないはず」
「何がよろしいですか?」
「えっと……オレンジジュースと、チキンサンドバーガーかなあ。あ、エクレアも食べようかな……、エクレアあれ、300円って書いてますよね?」
「……おそらく」
「えーと、うん、その3つでいっか」
そのまま列の最後尾に並ぼうとすると、彼はスマートに制した。
「空いたベンチで座って待っていて下さい」
「え、並んでくれるんですか?」
「足が痛いでしょう」
「え、まあそうですけど……ありがとうございます」
確かに、階段で足がだるいとはさっき言ったが、普段立ち仕事だし。どっちかというと、あなたの方が足がとっくに疲れてると思いますが……。
でもまあいいか、場所取りのつもりでその辺のベンチをひとつ確保。したのはいいが、彼が買った物は。
香月が先ほど注文をした、なんと一人分の食事であった。
「えっ!? 風間さんは何食べるんですか?」
「私は食べません」
「やっぱ券買いますね」
販売機に行こうとすると、すぐに風間は、胸ポケットから財布を取り出した。
「私が払います」
「経費で落ちるんですか?」
「そうです」
風間は、言い切ると、勝手に一万円を販売機に滑り込ませた。
「えっとじゃあ、7枚つづりを2セットでいいですよね」
「私は……」
「乗りましょうよ、どうせ2枚とも経費で落ちるんだから」
彼はその日一日よく付いてきてくれたと思う。待ち時間もちゃんと守って、結局一緒に乗り物に乗ってくれたし。ジェットコースターでメガネを外すように指示されても、ちゃんと守って裸眼を披露してくれた。
「どうしてメガネなんですか?」
の、質問に対し、
「目が悪いからです」
という、これ以上ない単純明快な返答にも、香月は一人で笑った。
食事はハンバーガーを買って、その辺のベンチで食べた。しかも、そのハンバーガーとジュースは彼が並んで買ってきてくれたのである。
「うわあ……並んでますねえ……、けどここでいっか、多分並ぶ時間はここが一番少ないはず」
「何がよろしいですか?」
「えっと……オレンジジュースと、チキンサンドバーガーかなあ。あ、エクレアも食べようかな……、エクレアあれ、300円って書いてますよね?」
「……おそらく」
「えーと、うん、その3つでいっか」
そのまま列の最後尾に並ぼうとすると、彼はスマートに制した。
「空いたベンチで座って待っていて下さい」
「え、並んでくれるんですか?」
「足が痛いでしょう」
「え、まあそうですけど……ありがとうございます」
確かに、階段で足がだるいとはさっき言ったが、普段立ち仕事だし。どっちかというと、あなたの方が足がとっくに疲れてると思いますが……。
でもまあいいか、場所取りのつもりでその辺のベンチをひとつ確保。したのはいいが、彼が買った物は。
香月が先ほど注文をした、なんと一人分の食事であった。
「えっ!? 風間さんは何食べるんですか?」
「私は食べません」