絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
「何がおかしいのよ(笑)、いやんなっちゃう、こんなおじさんばっかで。でさ、私カナッペ一枚しか食べられなかったんだよ!! もう最悪。何しにきたのか……」
「普段見られないような大物がいただろ?」
「え、知らないよ。世間にとっては大物かもしれないけど、私にとってはただの人です」
えへんとうまく言い切ったつもりだが、巽はそれに反して、溜息をついた。
「……」
「何か言ってよ……」
「相変わらずだな」
巽は失笑ともとれる、微かな笑いを含みながらもう一度グラスを傾ける。
「あーやだやだ、もうおじさんのペースに飲まれるー!!」
早くパフェ食べよう。
「今日はもう上がり?」
「ああ、明日始発で帰るだけだ」
「あ、同じなんだ」
「東京で仕事があるからな」
「仕事しーなんだねー」
「お前には耳が痛い話しだな」
「私だってちゃんと仕事してるよ! 本社に行ってから給料上がったんだよ! 25万!」
「それは良かったな」
「ねね。あなたは月どのくらいもらってるの?」
「……お前が知っても仕方のないことだ」
「すっごい貯金とかあるの、やっぱり」
「お前の数百倍はあるだろうな」
「……うそには聞こえないね」
「(笑)」
さて、パフェを食べ終え歯磨き歯磨き。って、人が洗面所で歯磨いてるのに、そこで堂々と服脱いでお風呂入るかなあ……なんてデリカシーのない奴。
ささ、おじさんは放っておいて早く寝よう。
明かりも充分に落として、布団の中に入る。
しかし、まだ寝入らないうちに巽がバスルームから出てきた音が聞こえた。
寝たふり、寝たふり。
体を拭く音がかすかに聞こえ、ドアが開く。
スリッパの音が怖いくらいに近づいて、ベッドの隅がずしりと沈んだ。
かなりの近距離に緊張。
突然、頭を軽く、撫でられる。
「嫌か?」
「普段見られないような大物がいただろ?」
「え、知らないよ。世間にとっては大物かもしれないけど、私にとってはただの人です」
えへんとうまく言い切ったつもりだが、巽はそれに反して、溜息をついた。
「……」
「何か言ってよ……」
「相変わらずだな」
巽は失笑ともとれる、微かな笑いを含みながらもう一度グラスを傾ける。
「あーやだやだ、もうおじさんのペースに飲まれるー!!」
早くパフェ食べよう。
「今日はもう上がり?」
「ああ、明日始発で帰るだけだ」
「あ、同じなんだ」
「東京で仕事があるからな」
「仕事しーなんだねー」
「お前には耳が痛い話しだな」
「私だってちゃんと仕事してるよ! 本社に行ってから給料上がったんだよ! 25万!」
「それは良かったな」
「ねね。あなたは月どのくらいもらってるの?」
「……お前が知っても仕方のないことだ」
「すっごい貯金とかあるの、やっぱり」
「お前の数百倍はあるだろうな」
「……うそには聞こえないね」
「(笑)」
さて、パフェを食べ終え歯磨き歯磨き。って、人が洗面所で歯磨いてるのに、そこで堂々と服脱いでお風呂入るかなあ……なんてデリカシーのない奴。
ささ、おじさんは放っておいて早く寝よう。
明かりも充分に落として、布団の中に入る。
しかし、まだ寝入らないうちに巽がバスルームから出てきた音が聞こえた。
寝たふり、寝たふり。
体を拭く音がかすかに聞こえ、ドアが開く。
スリッパの音が怖いくらいに近づいて、ベッドの隅がずしりと沈んだ。
かなりの近距離に緊張。
突然、頭を軽く、撫でられる。
「嫌か?」