絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
香月は胸の奥底でひそかに思っていたことを、ぶちまけた。さっきの附和とのキスと会話で、予想以上にストレスが溜まっている。
「えっ?」
真籐が素早く反応した。
「夢だけど……永久就職したいなあ……(笑)って。なんか仕事が面倒になっちゃった」
「あんなに好きだったのに」
ユーリが残念そうに言う姿を見て、香月は今までの自分を思い返した。
「うん……仕事と恋愛の両立が……、できそうにないから……」
「え?」
声を出したのは真藤。
「結婚するんですか?」
真藤は静かにたずねる。
「ううん、多分しない。しないよ。だから……今辞めても仕方ないとは思ってるんだけどね……」
「うん……」
ユーリは返事だけする。
「なかなか……相手が忙しいから……全然、うまくいかないし。いっそのこと、私が仕事辞めればもっと時間が自由になるし……」
「……それ、多分、待ってる時間が嫌んなるよ」
ユーリの意見は嫌味ではない、大人なのだ。
「僕もそう思います」
2人はこちらをじっと見ていた。
「相手が……私のことをそこまで本気じゃないかもしれない。し、ね……」
「え、そうなん!?」
大声を出したユーリは顔を顰めた。
「わかんない。しかもはっきり付き合ってないかもしれない。相手に他に恋人がいるかもしれない」
「えー!? そんなんで会社辞めるなんて絶対いかんよ! 今せっかく本社に行って給料も上がったゆーてたやん!」
「……うん……」
「まさか不倫、じゃないですよね?」
真藤は平静を装って聞いた。
「……知らない。分からない」
その答えに一同静まる。
「もっと相手のこと知ってからの方がええと思うよ。仕事とかどうこう言う前に」
「……そうかもしれない」
その絶好のタイミングで携帯電話は鳴る。
香月は何も考えずにバックから取り出すと、画面を確認するやいなや、すぐに受話ボタンを押した。
「もしもし」
2人のことはそのままに、自室に移動する。
『もしもし……さっきのことだが、附和、とは?』
挨拶もなしだ。
「え……あのっ、それより……」
『なんだ?』
「えっ?」
真籐が素早く反応した。
「夢だけど……永久就職したいなあ……(笑)って。なんか仕事が面倒になっちゃった」
「あんなに好きだったのに」
ユーリが残念そうに言う姿を見て、香月は今までの自分を思い返した。
「うん……仕事と恋愛の両立が……、できそうにないから……」
「え?」
声を出したのは真藤。
「結婚するんですか?」
真藤は静かにたずねる。
「ううん、多分しない。しないよ。だから……今辞めても仕方ないとは思ってるんだけどね……」
「うん……」
ユーリは返事だけする。
「なかなか……相手が忙しいから……全然、うまくいかないし。いっそのこと、私が仕事辞めればもっと時間が自由になるし……」
「……それ、多分、待ってる時間が嫌んなるよ」
ユーリの意見は嫌味ではない、大人なのだ。
「僕もそう思います」
2人はこちらをじっと見ていた。
「相手が……私のことをそこまで本気じゃないかもしれない。し、ね……」
「え、そうなん!?」
大声を出したユーリは顔を顰めた。
「わかんない。しかもはっきり付き合ってないかもしれない。相手に他に恋人がいるかもしれない」
「えー!? そんなんで会社辞めるなんて絶対いかんよ! 今せっかく本社に行って給料も上がったゆーてたやん!」
「……うん……」
「まさか不倫、じゃないですよね?」
真藤は平静を装って聞いた。
「……知らない。分からない」
その答えに一同静まる。
「もっと相手のこと知ってからの方がええと思うよ。仕事とかどうこう言う前に」
「……そうかもしれない」
その絶好のタイミングで携帯電話は鳴る。
香月は何も考えずにバックから取り出すと、画面を確認するやいなや、すぐに受話ボタンを押した。
「もしもし」
2人のことはそのままに、自室に移動する。
『もしもし……さっきのことだが、附和、とは?』
挨拶もなしだ。
「え……あのっ、それより……」
『なんだ?』