絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
「うん……3日休みにしてって言ったら、一週間でもいいって言われた」
「え、それ大丈夫なの?」
「うん、阿佐子が入院してること、知ってる人だったから」
「あそう……」
夕貴はあまり納得いかないのか、目を逸らして、少し細めた。
「ああ、あの? えーと、なんだったか……」
やはり、榊は名前を忘れている。
「うんそう」
「まだ続いてたんだな」
榊は宮下とのことを思い出し、今話した彼氏というのが、自分の中で一致したことを示した。
「ううん、あの人とは別れたよ。だから、今付き合ってるのは別の人」
「そうか……」
夕貴は自分だけが知っている相手に、満足しながらも、その話の続きは避けた。
「こうやって、3人で会うのも、最後かもな」
しみじみ言う夕貴の顔は、特にどうという感情も込められてはいない。
「……そうだね……」
香月は小さく頷いた。
「この3人でお茶するなんて。こんなことでもなければ、実現しなかっただろうな」
さらりと放つ榊に
「そりゃそうだ……」
と、夕貴はその意見などどうでもよさそうに、両手を上に出して伸びをする。
香月はというと、もう涙なんかとっくに出ていないのにもかかわらず、頬に手を当て、神妙な顔つきで
「そうね……」
と、静かに応えた。
それの日が、この長い年月の終止符となる、4人揃って顔を合わせた最後の日であった。
「え、それ大丈夫なの?」
「うん、阿佐子が入院してること、知ってる人だったから」
「あそう……」
夕貴はあまり納得いかないのか、目を逸らして、少し細めた。
「ああ、あの? えーと、なんだったか……」
やはり、榊は名前を忘れている。
「うんそう」
「まだ続いてたんだな」
榊は宮下とのことを思い出し、今話した彼氏というのが、自分の中で一致したことを示した。
「ううん、あの人とは別れたよ。だから、今付き合ってるのは別の人」
「そうか……」
夕貴は自分だけが知っている相手に、満足しながらも、その話の続きは避けた。
「こうやって、3人で会うのも、最後かもな」
しみじみ言う夕貴の顔は、特にどうという感情も込められてはいない。
「……そうだね……」
香月は小さく頷いた。
「この3人でお茶するなんて。こんなことでもなければ、実現しなかっただろうな」
さらりと放つ榊に
「そりゃそうだ……」
と、夕貴はその意見などどうでもよさそうに、両手を上に出して伸びをする。
香月はというと、もう涙なんかとっくに出ていないのにもかかわらず、頬に手を当て、神妙な顔つきで
「そうね……」
と、静かに応えた。
それの日が、この長い年月の終止符となる、4人揃って顔を合わせた最後の日であった。