絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
「うそ……」
溜息にも似た声が漏れる。
「さっき、助けられたといいましたが、どんな内容か聞いてもいいですか?」
きちんとスーツを着ている自分が、こんな子に負けるはずがない。
心の中で強く意思を持って口を開いた。
「……言っていいのかどうか分かりません」
相手は、目を逸らして、答える。
「そうですか……。あなたは、これからどうするんですか?」
「分かりません。とりあえず、相田さんがここにいろって言うからいるだけです」
「次のことが決まってないのですか?」
「……たぶん……聞いてません」
「これは監禁ですか?」
香月の質問に、女は全くこちらを見ずに真剣に考え始めた。
「……違うと思います。私をここで匿まってくれているんだと思います」
「誰が?」
香月は素早くたずねた。
「……巽さん……とか相田さんです」
「匿ってるってことは、追われてるんですか? あなた何か悪いことでもしたんですか?」
相手が年下だというのをいいことに、口調が激しくなる。
「私自身はしてません。だけど……私の父親がしたかもしれません」
予想外の展開に香月も一瞬言葉を失う。
「……そうですか……」
予想外に沈黙になり、この会話をどう終結させようかという問題が過ってすぐ、
「あの、巽さんとあなたはどんな関係なんですか?」
突然、相手に目を見て質問された。
今日の核心に触れられた香月は、瞳を大きく見開いたが、すぐに、
「いえ……別に……」
「……」
そのときの女の表情がえらく納得いかないようなに見えた。
「あなたは私を助けようとここへ来てくれたのですか?」
そう言うわりに女は、助けを求めているようにはなかった。むしろ、堂々とその救いをはねのけようとしているようにも見える。
香月は数秒考えてから、
「私は何も知りません。あなたがどうしてここにいるのか、何がどうなったのかも。だから……助けるというのはちょっと違う気がする」
本当は大いに違う。
「そうですか……」
これで最後だと思った。
溜息にも似た声が漏れる。
「さっき、助けられたといいましたが、どんな内容か聞いてもいいですか?」
きちんとスーツを着ている自分が、こんな子に負けるはずがない。
心の中で強く意思を持って口を開いた。
「……言っていいのかどうか分かりません」
相手は、目を逸らして、答える。
「そうですか……。あなたは、これからどうするんですか?」
「分かりません。とりあえず、相田さんがここにいろって言うからいるだけです」
「次のことが決まってないのですか?」
「……たぶん……聞いてません」
「これは監禁ですか?」
香月の質問に、女は全くこちらを見ずに真剣に考え始めた。
「……違うと思います。私をここで匿まってくれているんだと思います」
「誰が?」
香月は素早くたずねた。
「……巽さん……とか相田さんです」
「匿ってるってことは、追われてるんですか? あなた何か悪いことでもしたんですか?」
相手が年下だというのをいいことに、口調が激しくなる。
「私自身はしてません。だけど……私の父親がしたかもしれません」
予想外の展開に香月も一瞬言葉を失う。
「……そうですか……」
予想外に沈黙になり、この会話をどう終結させようかという問題が過ってすぐ、
「あの、巽さんとあなたはどんな関係なんですか?」
突然、相手に目を見て質問された。
今日の核心に触れられた香月は、瞳を大きく見開いたが、すぐに、
「いえ……別に……」
「……」
そのときの女の表情がえらく納得いかないようなに見えた。
「あなたは私を助けようとここへ来てくれたのですか?」
そう言うわりに女は、助けを求めているようにはなかった。むしろ、堂々とその救いをはねのけようとしているようにも見える。
香月は数秒考えてから、
「私は何も知りません。あなたがどうしてここにいるのか、何がどうなったのかも。だから……助けるというのはちょっと違う気がする」
本当は大いに違う。
「そうですか……」
これで最後だと思った。