絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
「じゃあ私、仕事があるので帰ります」
「……あ、はい……」
「ごめんなさい。こんな早くに。じゃあ……」
香月はそれだけ言うと、外に出る。外では、暇そうに相田が膝を折って、タバコをふかせていた。
「帰らはるんですか?」
「はい。仕事がありますから」
「送ります」
「いえ、いいです。自分で帰れます」
香月は一度も振り返らずに言う。
頭の中では、女のいやに若々しい表情やトレーナーから出た細い細い首や、ジャージが大きいと予想させる細い腰が巽と絡まっていってしまったのではないかと、そればかり繰り返してしまう。
相田を振り切り、足早に大通りまで、歩く。そこで運よくタクシーを拾えた。
今日はこれから仕事にいく。
夜まで仕事をして。その後は必ず、新東京マンションへ、向かう。
「……あ、はい……」
「ごめんなさい。こんな早くに。じゃあ……」
香月はそれだけ言うと、外に出る。外では、暇そうに相田が膝を折って、タバコをふかせていた。
「帰らはるんですか?」
「はい。仕事がありますから」
「送ります」
「いえ、いいです。自分で帰れます」
香月は一度も振り返らずに言う。
頭の中では、女のいやに若々しい表情やトレーナーから出た細い細い首や、ジャージが大きいと予想させる細い腰が巽と絡まっていってしまったのではないかと、そればかり繰り返してしまう。
相田を振り切り、足早に大通りまで、歩く。そこで運よくタクシーを拾えた。
今日はこれから仕事にいく。
夜まで仕事をして。その後は必ず、新東京マンションへ、向かう。