絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
最上の顔を、もう見ようとは思わなかった。ただ、誰とも視線を合わせず、歯を食いしばる。
「……少なくとも、西野さんと陽太君は喜ぶと思います」
「ちょっと! それは強引じゃない? 結婚ってそんな簡単なもんじゃないわよ」
サクラは最上をたしなめるように言った。
「私の人生……馬鹿にしてる」
香月は思ったままを言った。自分は決して間違っていない。そう強く確信して。
「……」
最上は何か言おうと、鋭い顔つきでこちらを見たようだが、一旦こらえた。
「私にだってこうしたいってゆー理想があるのにそんな……友達が可哀想とかいう理由で結婚なんてできない」
「じゃあ私が陽太君を育てます!」
最上のあまりに非現実的な意見に、まずサクラが
「ちょと、何ヒートアップしてんのよ?」
「……」
誰もその後の会話を続けられない。巽も隣にいながらどう感じているのか全く分からなかったが、ただ、足を組んで前を見つめること以外はしなかった。
「やめやめ……。皆言ってることは正しい。正しいとは思うわ。春奈がそう言う気持ちも分かるし、香月さんの言い分も分かる。あの子もだいぶ香月さんのことを想ってたからね。それを知ってる春奈と私からすれば、春奈の気持ちもすごくよく分かる」
「私は……」
最上は小さく言いながら、席についた。
「香月先輩が結婚したくてもできないってゆーから、それなら西野さんがいるのにって思ったんです。最初は」
「……らしいわね。ごめんなさいね。初対面なのに、何でも知っちゃってて」
サクラがちらと巽を見ているのが分かる。
結婚……。
絶句した。
言葉が出てこず、額に当てた手を離すことができない。
「……少なくとも、西野さんと陽太君は喜ぶと思います」
「ちょっと! それは強引じゃない? 結婚ってそんな簡単なもんじゃないわよ」
サクラは最上をたしなめるように言った。
「私の人生……馬鹿にしてる」
香月は思ったままを言った。自分は決して間違っていない。そう強く確信して。
「……」
最上は何か言おうと、鋭い顔つきでこちらを見たようだが、一旦こらえた。
「私にだってこうしたいってゆー理想があるのにそんな……友達が可哀想とかいう理由で結婚なんてできない」
「じゃあ私が陽太君を育てます!」
最上のあまりに非現実的な意見に、まずサクラが
「ちょと、何ヒートアップしてんのよ?」
「……」
誰もその後の会話を続けられない。巽も隣にいながらどう感じているのか全く分からなかったが、ただ、足を組んで前を見つめること以外はしなかった。
「やめやめ……。皆言ってることは正しい。正しいとは思うわ。春奈がそう言う気持ちも分かるし、香月さんの言い分も分かる。あの子もだいぶ香月さんのことを想ってたからね。それを知ってる春奈と私からすれば、春奈の気持ちもすごくよく分かる」
「私は……」
最上は小さく言いながら、席についた。
「香月先輩が結婚したくてもできないってゆーから、それなら西野さんがいるのにって思ったんです。最初は」
「……らしいわね。ごめんなさいね。初対面なのに、何でも知っちゃってて」
サクラがちらと巽を見ているのが分かる。
結婚……。
絶句した。
言葉が出てこず、額に当てた手を離すことができない。