絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
「……え、た、ただで? え、これ買取ですか?」
巽は意識をしたのか、煙を香月と反対方向に飛ばした。
「やると言ってるだろう」
「……何でですか? 欲しいけど……」
「ただのチケットだ、心配することはない」
「……どうして私に?……」
香月は巽を見つめた。
「欲しいと言えばやると言っただけだ」
巽は簡単には視線を逸らさない。
「……そっかあ」
先に耐えられなくなって、香月が視線を逸らした。
「そのまま捨てるのももったいないですよね。えー……うそぉ……迷うなあ……」
香月は、腕を組んで、ソファにぐっともたれた。
「何を迷う必要がある?」
「色々……本当に貰っていいのかなあ……次に誰と行くか」
「誰とでも」
短くなったタバコを灰皿でもみ消しながら、巽は立ち上がった。
「13日……。あの、その日、巽さんは仕事だから私にチケットくれるんですか?」
「休みの日はない」
「え、毎日仕事?」
「仕事が空いた時に休む」
「休みの日あるんじゃないですか!! ……一緒に行くっていうのはどうですか?」
自分でも半信半疑。
「……公演を見に?」
「朝からディズニーランドに行って……午後から……?」
「さあ……公園は夕方くらいだった気がするが」
「で、夕方それ見る」
「考えておく」
「考えて……」
それって、遠まわしに断られたってことですか?
「行くような友達はいないのか?」
「なんか……勿体無いし」
今、そんな素敵なチケットを持って、宮下と手を繋ぎたい気分ではない。
「公演はともかく、ディズニーランドは……」
「あれはセットだから意味があるんですよ!! 行ったことあります?」
「ないな…」
「行きましょうよ、自由に休めるんなら」
「……」
「ね!! えっと、13日朝、どこ集合にします?」
「……」
巽は何を確認したいのか、腕時計を一度見た。
「まさか、開園時間から行く気か?」
「大丈夫、門の前で待つ気はないです(笑)」
「……ここからだと、一時間半はかかるな……」
「高速で?」
「もちろん」
巽は意識をしたのか、煙を香月と反対方向に飛ばした。
「やると言ってるだろう」
「……何でですか? 欲しいけど……」
「ただのチケットだ、心配することはない」
「……どうして私に?……」
香月は巽を見つめた。
「欲しいと言えばやると言っただけだ」
巽は簡単には視線を逸らさない。
「……そっかあ」
先に耐えられなくなって、香月が視線を逸らした。
「そのまま捨てるのももったいないですよね。えー……うそぉ……迷うなあ……」
香月は、腕を組んで、ソファにぐっともたれた。
「何を迷う必要がある?」
「色々……本当に貰っていいのかなあ……次に誰と行くか」
「誰とでも」
短くなったタバコを灰皿でもみ消しながら、巽は立ち上がった。
「13日……。あの、その日、巽さんは仕事だから私にチケットくれるんですか?」
「休みの日はない」
「え、毎日仕事?」
「仕事が空いた時に休む」
「休みの日あるんじゃないですか!! ……一緒に行くっていうのはどうですか?」
自分でも半信半疑。
「……公演を見に?」
「朝からディズニーランドに行って……午後から……?」
「さあ……公園は夕方くらいだった気がするが」
「で、夕方それ見る」
「考えておく」
「考えて……」
それって、遠まわしに断られたってことですか?
「行くような友達はいないのか?」
「なんか……勿体無いし」
今、そんな素敵なチケットを持って、宮下と手を繋ぎたい気分ではない。
「公演はともかく、ディズニーランドは……」
「あれはセットだから意味があるんですよ!! 行ったことあります?」
「ないな…」
「行きましょうよ、自由に休めるんなら」
「……」
「ね!! えっと、13日朝、どこ集合にします?」
「……」
巽は何を確認したいのか、腕時計を一度見た。
「まさか、開園時間から行く気か?」
「大丈夫、門の前で待つ気はないです(笑)」
「……ここからだと、一時間半はかかるな……」
「高速で?」
「もちろん」