絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
「えっ!? 結婚されてるんですか!?」
「……はい」
あ、そう!! へえー……、奥さん知ってるのかな、この人が人質縛ったりするような仕事してるってこと。
「あ、じゃあ、お子さんとかと一緒に……」
「……」
風間はそれには答えなかったが、まあそうとしか考えられない。
「へえー……大変ですね」
香月の中では、旦那さんが人質を縛る秘書という仕事をしているに対しての、家族の在り方を想像して感想を述べたが、おそらく風間にはどれほども伝わってはいないだろう。
「あの、ちなみに今日は何時出社なんですか?」
「直接ここへ来ました」
「あ、そうなんですか……。あの、巽さんが言うには、仕事は朝方に終わるとかいう……」
「……」
相手は、こちらの質問がない限り喋らないつもりなのだろうか。
「終わるとか言ってましたけど、もしかして、昨日も遅かったんですか?」
「3時です」
「えー!? 3時!? 夜勤?……夜勤なんですか、それ?」
「常勤です」
「えっ、一体何時から働いてるんですか?」
「昨日は午後5時からでした」
「……へー。忙しいんですね」
とは言ったものの、普通の人とズレまくったその出社時間の感覚に、全くついていけなかった。
一時沈黙。それにしても、右隣の感覚が久しぶりのせいか、落ち着かない。
「この車、私が持ってたのと同じ種類ですよね?」
「車種は同じですが、種類は違います」
「そうなんですか……」
会話膨らまないなあ……。
「あの、桐嶋さんって何歳なんですか?」
「……香月さんとは、おそらく一回りくらい違うと思います」
「え、35前後? そうなんですか! いやまあ……それくらいですよね」
「…………」
一時間半のドライブは香月の独り言が大半な感じであったが、なんとか時間は過ぎていく。
到着すると、開園時間5分前だが既に第一駐車場は満席だった。第二駐車場は歩いて少しかかる。
「うわあ、いっぱい。みんな開園前から並んでるんですね」
「予約しています」
……駐車場の予約? そんなこと、できるのだろうか?
なんだかよくは分からないが、予約してあるという駐車場は、隣接ホテルの地下駐車場で、第一駐車場のすぐ隣だった。ここなら、歩いてもしれている。
2人は車を降りると、目的地に向かって歩き始めた。
「……はい」
あ、そう!! へえー……、奥さん知ってるのかな、この人が人質縛ったりするような仕事してるってこと。
「あ、じゃあ、お子さんとかと一緒に……」
「……」
風間はそれには答えなかったが、まあそうとしか考えられない。
「へえー……大変ですね」
香月の中では、旦那さんが人質を縛る秘書という仕事をしているに対しての、家族の在り方を想像して感想を述べたが、おそらく風間にはどれほども伝わってはいないだろう。
「あの、ちなみに今日は何時出社なんですか?」
「直接ここへ来ました」
「あ、そうなんですか……。あの、巽さんが言うには、仕事は朝方に終わるとかいう……」
「……」
相手は、こちらの質問がない限り喋らないつもりなのだろうか。
「終わるとか言ってましたけど、もしかして、昨日も遅かったんですか?」
「3時です」
「えー!? 3時!? 夜勤?……夜勤なんですか、それ?」
「常勤です」
「えっ、一体何時から働いてるんですか?」
「昨日は午後5時からでした」
「……へー。忙しいんですね」
とは言ったものの、普通の人とズレまくったその出社時間の感覚に、全くついていけなかった。
一時沈黙。それにしても、右隣の感覚が久しぶりのせいか、落ち着かない。
「この車、私が持ってたのと同じ種類ですよね?」
「車種は同じですが、種類は違います」
「そうなんですか……」
会話膨らまないなあ……。
「あの、桐嶋さんって何歳なんですか?」
「……香月さんとは、おそらく一回りくらい違うと思います」
「え、35前後? そうなんですか! いやまあ……それくらいですよね」
「…………」
一時間半のドライブは香月の独り言が大半な感じであったが、なんとか時間は過ぎていく。
到着すると、開園時間5分前だが既に第一駐車場は満席だった。第二駐車場は歩いて少しかかる。
「うわあ、いっぱい。みんな開園前から並んでるんですね」
「予約しています」
……駐車場の予約? そんなこと、できるのだろうか?
なんだかよくは分からないが、予約してあるという駐車場は、隣接ホテルの地下駐車場で、第一駐車場のすぐ隣だった。ここなら、歩いてもしれている。
2人は車を降りると、目的地に向かって歩き始めた。