【完】校内1のイケメンに恋をした!!
「それで、今一人で暮らしてる理由だけど。
それはな、Aに子供が出来たからなんだ」
「え?龍輝の子?」
「違うって。Aが結婚して、そんで子供が出来たの。
新しい親父はすっげー良い人だし、もちろん子供も可愛いけど。
でもなんかこう、幸せな家族の邪魔したくねぇなって思って。
で、親父が遺した財産?ってのがけっこーあるらしくて、それを使って今は自由気ままに生活中。
まぁ、金の管理はAがしてるから、ほんとの自由とは違うかもしれねーけどな」
ふっ、と龍輝さんが笑う。
そして私を見て「おしまい」と小さく言った。
「俺の話だけならすぐ言えたんだけどさ、一応、優のことが絡むし。
優に許可取らなきゃなぁとか思ってたんだけど、なかなか機会が無くて」
そう付け加え、残っていたジュースを一気に飲んだ。
……龍輝さんって、凄い。
色んなことを経験して、そして「今」があるんだ…。
「…真由ちゃん、私も黙っててごめんね。
本当はすぐ言いたかったんだけど…母親の話、あんまりしたくなくて…」
「あっ…、ううん、気にしないで!」
…優ちゃんも、辛かったんだ。
今は幸せに暮らしてるとしても、母親の態度とか、龍輝さんの想いとか…。
…小学生の優ちゃんはきっと色々なものを抱えてて、そして今もきっと、色々なものを抱えながら生きてるんだ。
「えっと…龍輝さん。
話してくれて、ありがとうございました」
「ん。あぁそうだ、色々面倒だから、他の奴らには黙っといてくれる?」
「もちろんです!」
「ありがと」
…いつもと変わらない優しい顔の龍輝さん。
それにホッとしながら、私も小さく笑みを浮かべた。