【完】校内１のイケメンに恋をした!!

「な、なんでそれを…」

「表情(かお)見てたらわかる。
大雅がそれを利用して君の近くに居るのも知ってる」

「………」


…十朱さんは全部知ってたんだ…。
私の気持ちも、大雅さんのことも…。




「アイツ、いつもやりすぎるとこがあるんだ。
だから、迷惑かけてごめん」

「そ、そんな…十朱さんが謝ることじゃないですよっ…!!
だいたい、悪いのは大雅さんで…――」

「……朔也でいい」

「――…え？」


騒がしい場所で、私と十朱さんのところだけ音が無くなったような気がした。




「俺も真由って呼ぶ。だから、朔也でいい」

「あっ…はいっ…!!」


優しい顔に、つい私の顔もほころぶ。

十朱さん…ううん朔也さんって、こんな顔もするんだ…。


いつも一人だけ冷めた顔してつまらなそうにしてたけど、でもこんな風に笑ってくれるんだ…。




「…なんか、朔也さんとこんな風に喋れるなんて思ってませんでした」

「え？」

「…朔也さん、いつも私のこと避けてませんでした？
目が合ってもすぐ逸らされちゃうし、さっきだって私に気付いたのに無視したじゃないですか」


「あぁ…うん、ごめん。
別に避けてるわけじゃないんだけど、ちょっと苦手でね」

「…いつも女子に囲まれてるのに？」

「……アレは俺の意思じゃないから、ハッキリ言って恐怖以外のなんでもないよ」

「あはは」


…なんだ、そうだったんだ。


よかった。
私、朔也さんと普通に話すことが出来てる。

朔也さんも私を見て笑ってくれてる。


なんだかそれが凄く嬉しくて、凄く楽しい。






「…真由ちゃん、朔ちゃんに乗りかえたの？」


…その言葉で現実に引き戻されるまでは、本当に楽しい時間を過ごしていた。