【完】校内1のイケメンに恋をした!!
優ちゃんと武蔵野さんが隣同士で、私の隣が大雅さん。
残ってる席は、私のもう片方の隣か、優ちゃんたちの方…。
「…龍輝はなんて?」
「うーん、と。“真由が嫌がりそうだから俺は健吾たちと座った方がいいんじゃね?”って」
え? 嫌がる、って…むしろ隣に居てくれたら嬉しいのに…。
て言うか龍輝さん、私の隣が嫌なのかな…?
「…それ、本当に龍輝が言ったの?」
「うん、嘘として言いたかったけどマジ。
一応朔ちゃんにも聞いてくるからって来たんだけど、龍輝はもう向こうで座る気満々」
………。
私と一緒は、そんなに嫌なんだ…。
「…なに考えてるんだ龍輝」
…朔也さんの声が、騒がしい中で小さく聞こえた。
直後、さっきまでの笑顔が嘘のように冷たい瞳でため息をついた。
「…俺はどっちでもいい。 真由はどうしたい?」
「え? わ、私ですか…?」
「うん」
私は…、そりゃあ龍輝さんと座りたいけど…。
…でも龍輝さんが嫌がってるのに、「龍輝さんの隣がいい」だなんて言えないよ…。
だから、朔也さんを見て小さく微笑む。
「…あの、朔也さん。 こっちで一緒に座りましょ?」
「…それでいいの?」
「…龍輝さんはもう向こうで座る気みたいだから、この方がいいですよ」
「…そう、わかった」
朔也さんは何か言いたそうにしたけれど、そのまま何も言わなかった。
「んー…」
大雅さんは困ったような顔で帽子を更に深くかぶり、私の肩をぽんぽんっと叩いた。
そして、
「もう中に入れるみたいだから、入ろっか」
そう笑った声はいつもの大雅さんと変わらなかったけど、その表情(かお)は帽子に隠れていたから、確認することが出来なかった。