無題
「泥棒かな…まさかね…こんなオフィス街にある建物に入る泥棒なんているわけないし…」
千早の言うようにここはオフィス街で、この時間帯にはほとんど街中に人はいないし、オフィス街に家があるなんて考える人はいない。
千早はゆっくりと慎重に階段を降りる。
しかしエントランス兼事務所のそこには人影一つなかった。
ほっと肩をなでおろす。
「なんだよ…気のせいか。」
そう言うとまた階段を登り自室に向かった。
だがその時千早は気づいていなかったのだ、そこにあるはずのものが無いことに。
しかしそれに気づくのはもう少し後の話。
次の日から千早は、昨晩作っていたチラシを配ったり、道の掲示板などに貼ってまわった。
だが小さな事務所ということ、始めたばかりということもあってなかなか全く人はこなかった。
千早は事務所の椅子に座ってぼうっとしてる日々が続いた。
そんなある日1人の客人がやってきた。