the second 〜永遠の恋人〜
康太の想い
『康太、朝ごはん食べなさい!』

『ゴメン遅刻しそうなんだ!』

母親の声を背中で聞きながら康太は外に飛び出した。

玄関脇に止めてあるオレンジ色のマウンテンバイクに飛び乗り思いっきりペダルをこぐ。

釣り具で有名なメーカー製のギアが微かな金属音をさせて動力を車輪に伝えると総重量3キロに満たない軽量の車体はあっという間に風と一体になった。

ようやく春めいてきた匂いが街中を包み込む。

今の季節が康太は好きだった。

花粉症の人が聞いたら怒り出しそうだが、この春の匂いがたまらなく心地いい。

大学までの途中にある国道を突っ切りオフィス通りに出る。

大分開けてきたとは言え未だ未だ田舎臭い街に不自然な近代的ビル『サウスセンターホテル』の前で信号待ちの為に初めて足を地面に下ろした。
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