the second 〜永遠の恋人〜
そこに直径3メートルはあろうかという大きな石がある。

未音は趣味でガーデニングをしようと思い、昨年ベランダに大きな花壇を作った。

土を入れただけで結局飽きてしまって、ほったらかしだが園芸用のスコップ等は購入していた。

そのスコップ二本で人間一人埋めるだけの穴を掘るのだ。

幸い粘土質の土は非常に軟らかく、どんどん掘る事が出来たが、それでも二人がかりで深さ1メートル以上の穴を作り上げた頃には東の空が明るくなりかけていた。

巨大な石の裏側での作業なので誰かに見つかると言った心配は無かったが、日が昇ればそうもいかない。

万一発見された時の為、未音の遺留品であるトランクを一緒に埋める訳にはいかない。

慶子の死体をトランクから取り出し、穴に落とす作業は弓暢が一人でやった。

その間、未音は両手で顔を隠し必死に祈る。
< 180 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop