the second 〜永遠の恋人〜
精一杯強がってみる。

自分の内面を相手に見透かされるのは嫌だった。

『じゃあとりあえず今は俺の事好きなんだ?』

『…分かんない』

マンションに着いたので組んでいた腕を離す、

『じゃあまた明日ね』

『うん、また学校で。明日は頑張って講義に出るよ』

『そうよ、一緒に卒業しようね』

笑顔で背を向け歩き出す樹を見て紗英は息苦しい程の切なさを感じた。

もう少しで部屋に入れてしまいそうな…今、樹が自分から上がってもいいかと尋ねれば紗英は間違いなく招き入れるであろう。

でも樹はそんな事を言う人間では無かったし、紗英も自分から樹を誘うような事は出来なかった。

『樹君…』
< 191 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop