the second 〜永遠の恋人〜
『うん?』

5メートル程の距離を隔てて二人は向かい合う。

『今日は…今は樹君の事好きだよ…明日はわからないけど』

『俺はずっと好きだよ。今も明日も明後日も』

そう言って樹は軽く右手を上げ去って行った。

残された紗英は呆然と立ち尽くす。

何故だか分からないが目から涙がこぼれ落ちた。

悲しい訳ではない。

嬉しいかと問われれば嬉しいと答える。

樹はずっと自分を見ていたのだ。

どんな時も自分を見守ってくれていたのだ。

明日学校で会ったら今度は自分が勇気を出して気持ちを伝える番だ。

変なプライドなんか棄てて樹の胸に飛び込もう。

そう決意した紗英は晴れやかな表情に戻りエレベーターに乗った。
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