the second 〜永遠の恋人〜

生前と変わらぬ神経質そうな瞳に薄い唇。

思わず弓暢は後ずさりした。

その拍子に誰かにぶつかる。

誰かの手が弓暢の肩に置かれた。

その手は泥にまみれていた。

細い指に光る銀色の結婚指輪、そして無数の擦り傷…

『ひぃっ！』

奇妙な叫び声を上げて弓暢は手を振り払った。

しかし、なおも泥だらけの手は弓暢に掴みかかる。

決して見たくはなかったが、視界に入ったその人物も慶子だった。

陥没した眼球、割れた額、不自然に変形した頬…そして捩れ曲がった首。

『く、来るな…やめてくれ！』

両手を前に突き出して慶子が迫るのをブロックする。