the second 〜永遠の恋人〜
叫びながらナイフごと突っ込み、土にまみれ腐乱した妻の胸に力いっぱい刃を突き立てる。

弓暢にはその瞬間、慶子が微笑んだような気がした。

『そうか慶子…嬉しいか?ええ?俺に殺されて嬉しいか?』

根本まで刺さったナイフを引き抜き、もう一度突き立てる。

あっという間に店内は騒然となった。

身長差20センチはあろうかという中年の男が果物ナイフで真人に向かってきたのだ。

見物人は皆、男が真人にボロ雑巾のようにされるのを期待してはやしたてた。

ボクシング経験に加え、喧嘩では絶対の自信がある真人も、どういう風にいたぶろうか考えたが勿論殺す気は無かったのだ。

こんな事で刑務所に行くのは馬鹿げているし、此処までの体格差、体力差があれば相手をどれだけの怪我に押さえられるかも十分計算できた。
< 212 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop