the second 〜永遠の恋人〜
自分で言って康太は涙を浮かべた。

紗英を失い、そして未音までもが…彼女だけは絶対に失いたくなかった。

『考えるんだ浜口君、藍原さんの行きそうな場所は?こんな時間だから何らかの施設には入れない。車を持ってないから遠くへも行けない』

命の危険があると聞いて鬼頭の口調も強くなる。鬼頭だって刑事である以前に一人の人間だった。

真実の扉を開くのも大切だが、それよりも大事な物だってある。

『人間が極限状態で無意識に向かう場所は子供の頃の記憶か、ごく最近の記憶だ!何か心当たりは?』

『子供の記憶か最近の…』

幼稚園から未音と共に過ごしてきた康太にとって幼少の記憶は多すぎた。この新宮市内すべてに可能性があるような気がする。

これほど多くの時間一緒にいながら自分は未音の事を何一つ知らなかったのかと康太は唇を噛んだ。
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