the second 〜永遠の恋人〜
何処をどうやって走ったのか記憶が無かった。

鬼頭も何故か自転車に乗っている。

『どうしたんですか自転車?』

『緊急事態だ』

大橋の上は真っ暗だった。車一台通る気配がない。

ただ川のせせらぎだけがリズムよく聞こえた。

息を呑みながら橋の中腹までくる。

先日二人で話をした場所だ。

そこに未音は立っていた。

まるで康太が来るのを知っていたかのように驚きもしない。

後ろの鬼頭の事は未音の視界に入ってない感じだ。

『未音…』

康太の呼び掛けに泣き笑いのような表情を浮かべる。

何時もの陽気な未音からは想像もつかない程やつれ果てた姿に康太は胸を痛めた。
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