the second 〜永遠の恋人〜
無言で一歩また一歩と足を進める。

二人の距離が5メートルになってから康太は足を止めた。

後ろでは鬼頭が黙って二人の様子を伺っている。

『康太よく此処が分かったね』

『当たり前じゃないか…未音の事は何でも分かるよ』

『ずっと一緒に居たもんね。お父さんとお母さんと…その次ぐらいに長い時間、康太と過ごした気がする』

やつれてはいるが暗闇に浮かぶように立ち尽くす未音はぞっとするほど美しかった。

『未音…帰ろう、一緒に帰ろう?俺がついていてやるから…一生そばにいるから。だから帰ろう』

康太の言葉に未音は苦しそうな顔を覗かせた。

心の中で激しい葛藤があるのが分かる。

しばらくの沈黙のあと未音はゆっくり足を康太の方に進めようとした。
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